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なぜ『新興住宅団地』は活力を失っていくのか?

街の中にはいわゆるニュータウンと言われる地域があります。多くが農地や山林などを切り開いて造成された住宅のための大規模な住宅団地のことを言います。そのせいか、「○○ヶ丘」だとか「○○台」といった名称がつけられたいたりもします。

そんな地域は、確かに街が出来た当初は、綺麗で華やかで人気があったりしますが、その多くが年月を経ていくうちに、活力を失っていくように思えます。今回は新興住宅地において、何故そのような事がおこってしまうのか、という事についてお話しさせて頂きます。

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新興住宅団地とは?その特徴は?

まず、最初に「○○ヶ丘」、「○○台」といった新興住宅団地の特徴を見ていきたいと思います。その多くが、都市計画の考え方の元に計画された、整った街づくりがされています。

大きな幹線道路が通り、街は商業エリアや公園、それに住宅しか建てられないエリアという風にゾーニングされています。そして、法律の規制以外にも、自治会などで色々な取り決めがされているケースが多くあります。例えば、「敷地を分割してはいけないだとか、建蔽率や容積率壁面後退、あるいは建築物の用途についても、法律に定められた以上の規制がされていたりもします。

そういったものが、居住環境のいい街づくりというものに繋がっていくと考えられているのです。

新興住宅団地がたどる道

そんな住民の意思も反映された理想の街づくりが行われた新興住宅団地も、当然いつかは「新興」ではなくなります。

そして、一定の年月を経ると、何故か街全体の活力がなくなってしまう団地が多くあります。街で見かける人が少なくなったり、空き家が目立つようにもなります。小学校や中学校もクラス数が少なくなり、公園も荒れ果てたままといったケースもあったりします。もちろん、全てがこのようになると言うわけではないのですが、少し郊外に行けばこのような状況を見かけることは多くあります。

新興住宅団地は何故、活力を失うのか?

では何故、このような状態になる新興住宅団地が多いのでしょうか。

まず、最初に考えられるのが高齢化です。子育てが終わった高齢者が増えることが、その第一の原因と考えられます。そして、高齢化が進んでも世代交代が行われないということもあるようです。その街で育っても、多くの方が大学への進学や就職に伴って、街を、自分の育った家を出ていきます。そんな方が戻ってくるケースは案外少ないようです。

さらに、理想の居住環境というものを目指した街づくりが弊害となることもあります。一つが規制の厳しさです。敷地の分割を禁止したり、建蔽率や容積率、壁面後退、あるいは建物の用途を厳しく規制することで、古くなった家の建て替えや処分がしにくくなります。それが、街としての新陳代謝を阻んでいるような側面もあります。

そして、もう一つ、これは理屈ではない部分もあるのですが、整然とした街並みに見かける多様性のなさのようなものも弊害としてあるような気がします。確かに、居住環境というものだけを考えると、その方がいいのかもしれませんが、街の活力は色々なものを受け入れ、それが混在することで産まれる部分もあります。それがない街というのは、無機質で、何故か魅力にかけるものとなってしまうという側面もあるように思われます。

今回は、日本中に多く見られる新興住宅団地についてみてきました。これらは、土地神話、高度経済成長といった、かっての日本の姿がもたらしたもののようにも思えます。もちろん、どんな街に住むかは人それぞれの自由ですが、多くの方にとって住宅は一生でもっとも大きな買い物です。そういった意味では、遠い未来を見据えるのも必要かもしれませんね

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