ボクサー ボクシング 物件探し

トイレで語り合った、あのロッキーは今どこで何しているのか?🥊

冬のこの寒い時期になると、毎年あるお客様の事を思い出します。

十年程前のお話しになりますが、夢の実現に向け、ボクシングでチャンピョンを目指しているという、若い青年のお部屋探しをお手伝いさせて頂いた時の事です。

当時、賃料の予算は管理費込みで3万円以下という条件でお部屋を探していた彼は、既に多くの不動産屋さんを周っていた様ですが、行く先々で冷たい態度を取られた様で疲れ果てており、そんな中ご相談に来られました。

彼の希望賃料や条件はさすがに難易度が高く簡単ではありませんでしたが、当時は私も若く、逆に「絶対に見つけてやるぞ~!」と、メラメラと燃えていました。

しかし、実際はそう甘くはなく、中々条件を緩和しても賃料3万円以下の物件というのは見つからず、最初にご相談に来られてから1ヶ月近くが経過をしていたある日、知り合いの管理会社より情報を頂き、賃料が何と管理費込みで2万8千円という条件のお部屋に空きが出たとの連絡を頂いたのです。

すぐに彼に連絡をし、「近くで3万円以下の物件の空きが出ました!見に行きましょう!」と、早速物件を見に行く事に。まだ、新しく出た物件という事で資料もなかった為、私自身も賃料以外の物件の詳細はあまり分からず、とにかく現地へ行ってどんなお部屋か確認してみましょう!といった状況だったのです。

そして現地につき、築年数は40年程経過しているの木造アパートだったのですが、思いのほか建物も綺麗でした。お部屋の中も、お風呂こそついていませんが、1DKの間取りでキッチンスペースと和室6帖のスペースがしっかりと仕切られており、生活するには十分なスペースが確保されています。

私も彼もテンションが上がり、「ここ凄い良いですね~!」「これは掘り出し物件ですよ!」と、とても盛り上がっていたのですが、そんな彼が玄関付近にあるトイレの扉を開けた直後、直立不動で動かないのです。

ボクサーの彼:「あの、これは…

どうしたのか気になり、私も除いてみるとそこには


和式トイレ…ですね。

2万8千円という破格の家賃であれば、我々からすれば珍しくもない和式トイレの物件でしたが、当時まだ10代の若い彼には、それがとても珍しかったらしく、聞くと今までの人生で和式トイレを使用した事がなかったと言うのです。

ボクサーの彼:「これは…どういう風に使うんですか?」

トイレで用を足す事は日常生活において欠かせない事であり、これが解決しなければお話しが進むはずがありません。それでは…という事でそこから「和式トイレ使い方講座」が始まったのでした。(ちなみに私は一応女性です…)


私:「これではダメですよ、周りに飛び散りますので。」


私:「これもダメです、お尻が汚れますし冷たいでしょ。」


これです!このかたちです!

などと、本気で和式トイレの使用方法のレクチャーを一通りすると、ボクサーの彼は…

ボクサーの彼:「良いですね!足腰が鍛えられます!和式便所最高ですよ!」

などと、最初の驚きはどこへやら、とても喜んでいたのでした。

そして、実はこの物件は最寄りの駅から徒歩約25分と距離があり、しかもバス便もないという立地なのですが、そんなところも彼に言わせれば…

ボクサーの彼:「毎日のロードワークになるじゃないですか!最高です!」

と、さすがの若さで前向きに考えていた様でした。

その後、その物件に申し込み、無事契約を済ませた後、引っ越しの際のご近所さんへの挨拶の品も、何を持っていって良いか分からないとの相談を頂いたので、アパート近くのお店まで一緒に買いに行き、ご近所さんへ届けにいったりもしました 😌

あれから約10年……あの若く輝いていたロッキーは今どうしているのでしょう。その鍛えあげた体でリングに立ち、戦っているのでしょうか。

高み目指しキラキラと輝いているその姿に、手数料以上のものを頂いた思い出は今も忘れません。🥊



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